祖父の形見、骨董品
小学生の頃でしょうか、祖父母が住む家が近かったので、学校が終わるとよく祖父母の家へ行っていました。学校からは少し距離がありましたが、一度自宅に帰りランドセルだけ置いて、妹と歩いて祖父母の家に行ってたんですよね。
今思うと、妹とふたりよく毎日歩いていたものです。私はたまにしか友だちと遊べなかったので少し寂しい思いもありましたが・・・。
両親は共働きでしたので、夜になると父か母が迎えに来るという生活でした。
祖父母の家へ行くと、毎日夕飯前、祖父が居間で骨董品磨き?をしていました。
祖父は朝早くから仕事していましたので、お昼過ぎに仕事を終え、ゆっくりした後に私と妹の子守がてら、骨董品を眺めたりお手入れするというのが祖父の日課のようで。
もちろん、小さい私や妹にしたら、なにやら古い壺やら彫刻やらを大事にしているな、という印象。
一度、壺に頭を突っ込んで遊んでいたときに祖父にゲンコツもらってから、私も妹も祖父の大事にしている骨董品たちにはノータッチを決意したことを覚えています。(笑)
あれからもう20年くらい経ちますね。
祖父が集めていた骨董品たちは、数少なくなりました。
祖父の骨董品を収集して飾っていた小さな和室は、祖父がいつも手入れしていたものを除いてすべて買い取ってもらい、静かな部屋になっています。
祖父が亡くなる前1年半入退院を繰り返していたのですが、その頃に祖父は「骨董品たちはすべて買い取ってもらってくれ」と言っていたそうです。
私も何度か見舞いに行きましたが、既に上京して仕事もしていましたので、なかなか見舞いに行くことができず、結局祖父の葬式の遺影で久々の笑顔を見ることになってしまいました。
祖父は大事にしていた骨董品をすべて買い取りしてもらえと言っていましたが、家族みんなで話した結果、しょっちゅう眺めていた骨董品だけは残そうということになり、すべては買い取ってもらわなかったわけです。
骨董品収集を反対していた祖母も、祖父が亡くなってからは、祖父の和室に入り、時たま骨董品を眺めるそうです。
今となっては祖父の形見ですが、もっと祖父に骨董品の話を聞いたらよかったな。